口から出た言葉は輪郭を纏い
しゃがみ込んだぼくの手を引いてくれた
ゆらゆらと宙を舞い
降りしきる雨粒の隙間を縫って
光が射す少し先の未来をぼくに見せてくれた
先に行って待っててよシャボン
こっちはまだ土砂降りだからさ
少し時間がかかっちゃうよ
弾けて消えないでよシャボン
ぼくの中に居たはずだろ?
簡単に空気にはならないで
行き交う人たちは風景のよう
きみが手を引いてくれたから
昔の映画みたいに雨の中でもステップを踏めるよ
見上げた空に浮かぶ黒い雲がゆっくりと動き出し
同時に時間が進み出す
走る稲妻のしっぽを掴んで
きみがいる場所へ飛んで向かうよ
だから心配しないで
そこで待っててねシャボン
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