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終わりの前

終わりを告げるヘリコプターが現れた

ぼくときみは丘の上にいて
森の方角からそいつが姿を見せた途端に
世界から色が落ちていくのがわかった

機体からは光の粒がこぼれている
蛍の光のようにぼんやりとした白い光は
高いところからゆっくりと世界に落ちていく

数秒の時が流れ
光の粒が閃光を放ち、爆発した

音はない
炎の塊が追いかけてくる

あしたが来ないことをすんなりと諦めたぼくは
きみを抱きしめた
そうすることが美しいことだと思ったし
ひとりでやり過ごすには少し怖かったから

あぁ、こんな時まで

なんで、ぼくは

絶望と恐怖に震え、涙し、立ち尽くすきみを見て
羨ましいと思ったんだ

あぁ、悔しいな
そんな風になりたかったよ

今からぼくが変わることが難しいのなら
せめてこの純粋を守らなきゃ

きみの頭を抱え
炎は背中で受けるよ

きっともうすぐヘリコプターは遠くに消えるから
そしたらまたあしたを始めて

ぼくは水晶になって
光をきみに届けるよ

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