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迷子のあとに

足を踏み入れた小さな空間は
古い木と紙の匂い
四方を埋め尽くす膨大な本が
心を弾ませ
そして迷わせる

どれを手に取ればいいかわからずに立ち尽くす私は
まさに今の私みたいで
呆れを通り越して少しおかしかった

全部手に取りたい気もするし
どれにも馴染めない気もする

炎が燃え盛り灰となった跡に
一冊だけが残れば楽なのに

どこからかそっと入り込んだ風が
必要な1ページだけを開いてくれたらいいのに

この世界は少なからず選ぶ必要があって
選ばないということはできない

だから私にはこの世界が難しくて
だからそんな世界で私を選んでくれた人を大切にしようと思う

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